会社員生活も55歳くらいになると5年先の定年が頭をよぎるようになります。そして定年後再雇用とも検討対象に入り始めます。今回は再雇用して地獄を見る人について解説します。
再雇用という雇用形態の中身を知ろう
文字通り再び雇用するわけですが、ほとんどの企業では再雇用というのは社員としての仕事やポジションの延長線ではありません。
再雇用の給与
定年で一旦会社を退職し、再度短期間(1年単位が多いでしょう)の雇用契約を締結します。
再雇用でも特殊な仕事で比較的高めの給与(といっても現役社員よりは圧倒的に安い)を貰っている例もなくないでしょうが、多くの場合は聞いて驚く安い給料だと思います。
この調査によれば、半数近くが5割以下としています。
こちらの@DIMEの記事では「定年前は年収900万円以上、定年後は300万円以上400万円未満」だそうであります。
取らぬ狸の皮算用ではいけませんので、悪いとフルタイム勤務で300万円以下で良くても400万円届かないと思うべきです。
再雇用の業務
高年齢者雇用確保措置では…
- 65歳まで定年年齢を引き上げ
- 希望者全員を対象とする、65歳までの継続雇用制度を導入
- 定年制の廃止
….のいずれかの措置を求めていますが、殆どの企業は65歳までの継続雇用制度(再雇用)にしています。
これは雇用継続を求めているだけであり、業務の継続性や内容、給与などは一切定めていません。ぶっちゃけ給与を縛るのは厚生労働省の定める地域別最低賃金かもしれません。
再雇用するが業務はトイレ掃除なんてのも絶対ないという保証はできません。
それを嫌だと拒否するなら会社側の雇用継続の提示を被用者側が拒否したことになり、企業の雇用継続義務はそこで終了です。
あまりないとは思いますが、ブラック企業だとやむなく再雇用提示するが、給与は時給制で最低賃金と同一、業務は部屋掃除で週3日で1日3時間なんてのもある「かも」しれません。
もう少し明るい話をするなら、再雇用の仕事は原則として社員と同一ではありません。
社員時代と同じ業務に見える仕事であっても、会社としては与えている責任が異なるというわけです。責任が違うので同一業務とはいえず、同一業務同一賃金の原則は適用されない。これが企業の一般的な味方であると思いましょう。
再雇用で地獄を見る可能性のある人
一般に再雇用の責任やその範囲は社員とは異なります。
判断を下す・意思決定する仕事なんてのは有りません。
ここまで書いてわかる人は大丈夫かもしれませんが、なんのこった?と思う人は要注意です。
定年その日まで管理職だった人の再雇用は地獄を見るかも
おまたせしました、今回のお題です。
そしてその判断や決定に基づき責任を持って組織を動かして結果を出すこと。
管理職の方なら身にしみてわかっているはずです。
管理職を長年続けていると、情報や状況から総合的に判断してビジネスをよりよい方向に導く力がついてきます。
同時に失われるのが、指示を受けて具体的に仕事をすすめていく力、一般社員として実務をこなす力です。
極端な例を言いますと、昨日まで部長だった人でいきなりエクセルでマクロを組んだり復数の表からデータを集めて分析できるようにしたりできますか?
あるいはワードで文書を作ったり、パワーポイントで支持された内容でプレゼンテーションを作ったりできますか?
さらには部門の経費処理(最近はさすがに手書きはないでしょう、何らかの経理システムのはず)をしたり出来ますか?
いずれも管理職時代には自分でやり方は知らなくても指示すれば遅滞なく部下がこなしてくれた仕事です。
再雇用で求められるのは管理能力ではなく実務をこなす実務能力です。
実務能力のない元管理職は新人より始末が悪い
管理職だったあなたにはわかるでしょう?
実務を粛々としてこなしてほしいのに、実務がこなせない人を自分の部下として雇いたいですか?
答えはNOに決まっています。元・管理職で実務素人同然の人を教育するために正社員のパワーは充てたく有りません。
若手新入社員なら素人でも教育することで会社の力として育っていきます。
筆者も部下に管理職数名を持つ組織を管理していたことがありますが、そんな人を引き受けるかどうかかと言われたら即座のNOと答えます。
冷たい言い方ですが社内郵便の配送でもさせておけとか言いたくなります。
そんな元管理職よりはアルバイトさんかパートさんに来てもらったほうがまだましかもしれません。
今回のまとめ
定年後の再雇用給与は悪いと300万以下、良くても400万円届かない人が多いようだ。
ただし、それも週5日雇用の場合であり、会社によっては再雇用は週4日勤務とか週3日勤務が基本でその分給与も4/5とか3/5になるであろうことを覚悟せよ。
定年その日まで判断・決定を業務とする管理力であった人は実務を知らないが、再雇用に求められるのは実務をこなせる知識である。
来年居るかどうかわからない再雇用従業員を会社は本気で育成したり指導はしない。
次回の予告
それではどうすれば、少しでもHappyな再雇用生活に繋げられるのかについて考えましょう。