知らない人が圧倒的に多いと思いますが、会社勤めを辞めるのは65歳になったときよりもその1ヶ月前の64歳11ヶ月がお得という話です。筆者は実際にそのようにしました。このあたりの実際の手続きや実地経験を連載でお届けします。かなりリアルタイムな流れですので、毎週ではありませんがご期待ください。
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筆者の勤務事情
筆者の定年再雇用満了(5年間)は2022年4月末でした。
そして筆者の勤務先であった会社は多くの日本企業同様に決算は3月末で4月1日から新しい会計年度が始まります。
新年度の当初1ヶ月しか在籍しないというのも変ですし、さらに残有休消化で事実上4月は出社しないのに、人事上の組織の頭数(構成員数)には入ってしまうので、実際には部活で言うところの幽霊部員みたいになり、管理職の経験からしてもあまり良い状況ではありません。
これが3月末、すなわち結果的に64歳と11ヶ月で退社しようとした理由の一つです。
65歳の退職で失業給付をもらう
皆さんの諸先輩の中で再雇用の65歳満了の1ヶ月前に退職した人はいらっしゃいませんか?
筆者が現役正社員時代にもそういう方がちらほらいらっしゃいました。
その時は理由がよくわかりませんでした。前述のような会計年度のキリが良いということでもなく「謎」でした。
しかしいざ自分がその立場になって調べてみるとわかりました。
鍵は「失業給付(基本手当)」です。
- 65歳になる前に離職した場合には90〜150日分の失業給付(基本手当)が受け取れる(一括ではない)。
- 65歳になってから離職した場合には50日分の手当を一時金で一括して受け取れる。
- ただし、前述のとおり早く辞めた分給料が減る。
在職時に結構高い給料をもらっていれば別ですが、大抵の再雇用従業員だと1.のほうが2.よりトータルで受け取れる額は多くなります。
65歳以前で離職すると年金が減る・停止される
この話は聞いたことがあるかもしれません。
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)は生年月日と性別により60歳になってから65歳になり老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を受け取る資格が出るまでもらえるものです。
しかし、特別支給の老齢厚生年金は失業給付(基本手当)とは両立しません。
64歳11ヶ月の抜け穴
さて、ここからが本題で少しややこしくなります。
以下の点はとても大切なので必ず覚えておいてください。:
これは要注意でハローワークの担当者や窓口責任者も知らなくて、「失業給付(基本手当)を受けると年金が停止されます」と年金についてご存知なくて(それくらい勉強しろ!)単純におっしゃる方が多いと聞きます。
実際、一足先に手続きした同僚も窓口担当者やその上司とやらんもそう言われたとのこと。同僚はその足ですぐ近くの年金事務所で確認をして問題ないことをハローワークの窓口に伝えたそうであります。
なら64歳になってすぐでもいいじゃんという考えもあります。
あまり早く辞めると上記のとおり「失業給付(基本手当)」と「特別支給の老齢厚生年金」の支給が被ってしまう期間がでてくるので本来もらえる「特別支給の老齢厚生年金」が支給停止となります。
以下がベストソリューションになります。
- 64歳11ヶ月で離職することで、65歳になる前の離職となり90〜150日分の失業給付(基本手当)がうけられる。
- 会社によっては退職日は原則として誕生月の月末なんてところもありますので注意が必要です。
- 離職後誕生日を過ぎて65歳になってから失業給付(基本手当)を受けることで、64歳まで支給される特別支給の老齢厚生年金と被ることはなくなるので、支給停止もへったくれもない。そもそも支給停止となる特別支給の老齢厚生年金はもらっていない。失業給付(基本手当)と老齢厚生年金や老齢基礎年金は併給可能である。
- 65歳の誕生日を過ぎてからハローワークに行って続きをする。
離職票は必ずもらう
離職票は会社が発行しますので、退職手続きのときに忘れずに離職票発行依頼をしましょう。
黙っているともらえない可能性もありますので、再就職の可能性があるということで必ずもらってください。離職票を発行してもらったら必ずハローワークに行かないといけないものではないので、使わなければ大切に保管しておけばOKです。
発行してもらった離職票が手元に届いたら(退職日以降に発行されるので普通は郵便で送られてくるはずです)、かならず離職日を確認してください。これが誕生日の2日前より以前になっているのが肝心です。
あとは書類が揃ったらハローワークに行きましょう。
話は次回に続きます。