退職後の健康保険の選択肢は5つ、国民健康保険は恐ろしく高いし滞納は差し押さえ!

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今回は会社を離れると否が応でも考えなければいけない健康保険の話です。退職後の健康保険の選択肢と、国民健康保険料とその滞納は差押という恐ろしい状況の一端について書いています。

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定年退職後の健康保険の選択肢

一般には以下の3つです。

  • 任意継続(退職後2年間限定で加入可能)
  • 扶養家族になる(配偶者など家族が働いていて自分自身で健康保険組合等に加入している場合に一定年収以下であれば加入可能)
  • 国民健康保険に切り替える(誰でも入れる)

特別な条件が満たされている場合は以下の2つも選択肢です。

  • 特例退職被保険者になる(日本で61の特定健保組合のみに認められており任意継続後に加入可能)
  • 国民健康保険組合に入る(加入条件がある)

任意継続

退職後2年間はこれで凌げます。保険料は健保組合によって計算が違うと思いますが、保険料算定の基準である標準報酬月額は、退職時の標準報酬月額と平均標準報酬月額のいずれか低い方の額が、任意継続加入時の標準表週月額となります。(健康保険法 第47条)

任意継続のメリットは、現役時代とほぼ同様の付加給付や厚生施設利用、健康診断などを受けられることです。現役時代同様扶養家族の考え方が継承されますので、扶養家族分の保険料が不要であることです。

保険料会社負担分はないので全額自己負担になりますので、国民健康保険どどちらが安いかは任意継続のメリットも含めて総合的に考える必要があり、一概にどちらが良いとは言えません。

一般には任意継続のほうがメリットが多いと思います。

再雇用に問題がなければ可能な限り再雇用したほうが健康保険料は再雇用に伴う年収大幅減少で圧倒的に安いので、再雇用を終えた後の任意継続の標準報酬月額は正社員で退職するより再雇用で退職するほうが、その後の任意継続保険料が全然違います。

扶養家族になる

なかなか難しいケースが多いです。

60歳以上の場合年収が180万円未満でなければいけません。企業年金で退職金を100%年金化したら超えてしまう人は多いでしょうし、そうでなくても65歳になるまでの特別支給の老齢厚生年金の受給資格があればそれをいれると超えてしまうはずです。

なにより定年後は経済的に家族の世話になることを考えていない限り、普通は独立して生計を立てられ得るようにするでしょうから、民間生命保険会社の年金保険などの給付や株式配当金、売却益なども含めた総収入で考えると年収180万円未満は厳しいでしょう。

なので、これを適用できる人は多くないと思います。

国民健康保険に切り替える

普通は任意継続か国民健康保険の2者択一が多いです。

国民健康保険は組合健保のような扶養家族といった考え方がないため夫婦であればそれぞれに支払う義務が生じます。さらに収入ゼロであっても健康保険料は支払わねばなりません。

国民健康保険料シミュレーション
https://www.mmea.biz/simulation/kokuho_calculation/

このシミュレーションを使って、たとえば東京都杉並区で60歳の場合で計算すると、収入ゼロでも年間の保険料は71,900円、年金収入が300万円だと年間251,600円になります。これに加えて配当所得や個人年金保険等々の雑収入が毎年100万円あるとすれば368,000円です。これは一人分なので他に収入のある配偶者がいれば、そちらはそちらで保険料がかかりますので、最低でも数十万円は固そうで下手すれば年間100万円くらいはいっちゃいます。

ただし種々の軽減措置がありますので、かならずしも満額支払う必要はないケースが多いようです。自治体によって違いますので各自治体の公式ホームページを参照してください。

特例退職被保険者

現在61ある特定健康保険組合については、任意継続2年間のあと後期高齢者(75歳)まで、ひきつづき元の組合健保に加入し続けることができる制度があります。

[厚生労働省] 特定健康保険組合について/任意継続被保険者制度について(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000064187.pdf

特例退職被保険者というもので、保険料は再雇用で終了した任意継続より高く、現役で終了した任意継続よりは安い感じになるのが普通だと思います。こちらは国民健康保険と異なり扶養家族は現役時代の組合健保と同様ですので、配偶者が扶養家族である場合は大抵の場合は国民健康保険より安くなると思います。

上記の厚生労働省発行の資料(PDF)をごらんいただき、自分の健保組合が乗っていればその組合のホームページを見ると、特例退職被保険者の保険料が載っています。

加入は退職後任意継続に加入し、任意継続が終了するときに所定の日数内に手続きが必要です。

一旦その健保組合から外れると特例退職被保険者になる権利を失うということです。退職後、半年くらい任意継続で働いて、ちょうどいい口があったのでやらないよりはマシと2年ほど働いて(その間はその勤務先の健保に移行することになる)しまうと、元の健保の特例退職被保険者になる権利を失います。

もし特例退職被保険者になる予定をしているならば、迂闊に働くべきではありません。働いても新しい勤務先の健保組合への強制加入とはならないように所定労働時間が週20時間未満の労働契約にとどめねばなりません(そうでないと働いている先の勤務先の健保に自動加入になり、元の健保の資格を失ってしまう)。

参考:就職先の健保組合に強制加入にならない条件(2022年10月からの条件)
下記全部を満たすと強制加入なので、どれか一つ・安全のためには二つ以上を外せばよろしい。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金88,000円以上
・継続して2ヶ月以上使用される見込み
・学生ではないこと

週2日、1日6時間を日給8千円でアルバイトすれば月の賃金は64,000円〜80,000円なのでアルバイト先の健保強制加入にはなりません。

国民健康保険組合

あまり聞いたことがないと思います。

業種ごとに条件が決められており個人事業主(フリーランス)でも条件を満たせば加入することも可能な保険です。

[公式] 全国国民健康保険組合協会
http://www.kokuhokyo.or.jp

みればわかりますが、いわゆる医師(勤務医ではない主として開業医)をはじめとして法人に雇われていない比較的専門職の人たちが対象となるものです。

注目したいのは「文芸美術国民健康保険組合」で規定されている団体のいずれかに所属することが条件となります。

文芸美術国民健康保険組合 加盟団体一覧表
http://www.bunbi.com/dantai.html

この中に「日本ネットクリエイター協会」というのがあります。ただし「日本ネットクリエイター協会」会員になれたから「文芸美術国民健康保険組合」に入れるわけではありません。

「文芸美術国民健康保険組合」の条件は結構厳しいです。

[公式] 文芸美術国民健康保険組合
http://www.bunbi.com

日本ネットクリエイター協会会員になっても、YouTuberやブロガーで広告収入がほとんどの人はダメです。

・ライターとして記事を納品している
・WEBデザイン・制作を請け負っている
・デジタルコンテンツを販売している
・動画編集を請け負っている

このような方は文芸美術国民健康保険組合に加入できる可能性があります。すなわち申請書の職業欄に「WEBデザイナー」「動画編集者」「WEBライター」と記入し、それらのアウトプット(成果物)を必要に応じ示せる状況でないとだめです。これらが収入の中で一番割合が高いなどで主たる職業であると言えれば、加入できる可能性は高いでしょうが保証はできません。

そういうわけで定年まであるいはそのまま再雇用終了までビジネスパーソンでいた人には即座には無理な相談です。

国民健康保険料の滞納の行き着く先は差押え

滞納時の扱いは自治体によって異なりますが、納期限までに納付されないと督促や催告が行われ、その後に納付しても元の保険料に年利数%から10%近くのえ延滞金が発生します。それでも納付されない場合、納期限から一定期間経過後に差押られます。

種々の経済的理由で国民健康保険料が納付できない見通しの場合は、早めに自治体の窓口に相談し、それで拉致があかなければ弁護士の世話にならざるを得ません。拗れてしまうと素人では対処不可能です。

このPRESIDENTの記事は結構インパクトがありますね、是非お読みになってください。

国民健康保険料の概算は以下のサイトでシミュレーションができます。正確でなくても目安にはなります。

国民健康保険料シミュレーション
https://www.mmea.biz/simulation/kokuho_calculation/

まとめ

遅くとも退職2年前、できれば数年前から健康保険をどうするか考えよ。

国民健康保険の保険料は想像以上に高くてびっくりするので、一度といわず何通りかの収入想定で試算してみよ。

国民健康保険には扶養家族はない。一人一人に保険料があり収入ゼロの子供で年間数万円以上は保険料が発生する。

会社勤めであればまずは任意継続(2年間)、その後利用可能なら特例退職被保険者が無難。ただし任意継続期間中に再就職するなどして任意継続を離脱すると、特例退職被保険者の権利を永遠に喪失するので、再就職は健康保険の視点からは気軽に行うべきではない。