前回、管理職の仕事は判断し決定を下すことだと書きました。しかし定年後は例外はあるにせよ再雇用や再就職でそれらを求められることは極めてレアケースであり、結果的に再雇用や再就職で地獄をみるわけです。そうならないための一つの方法は実務力を磨くことです。
脱・管理職
管理職になって年月がたつと「部下に指示を出す」ことに慣れますが、「指示を受けてそれを具体的な業務・作業として実行する」ことはすっかり忘れてしまいます。
しかし、定年後の再就職や再雇用で求められるのは管理職としての雇用である場合を除き実務力です。
前回はそれがないので地獄を見ると書いたのです。
役職定年はチャンス
多くの大企業では役職定年という制度があると思います。
定年を待たずに部下を持つ管理職の立場を退いて後進に道を譲るわけです。
役職定年になってがっくりする人もいるかもしれませんが、筆者が勤務先で知る役職定年を迎えた人は皆生き生きして蘇ります。
もともと現業・実務が好きな人
管理職は社命で仕方なくなってやっていたが、好きではない!人(筆者がこれです)
筆者の経験では、役職定年になって生き生きとガッツリ実務仕事ができる人は退職後も再雇用でしっかり仕事をして周囲から頼りにされている方が多いです。再就職はちょっと条件が違うのでかならずしも再雇用と同じではないですが、しかし考え方としては同じです。
役職定年を選べる会社はあまりないと思いますが、もし選べるなら55歳になったら積極的に管理職を退くべきです。
役職定年のメリットは、かつての自分の部下が自分の上司になる環境に早めに慣れることが出来るということです。
管理職として変なプライドがある人に限って、こういうのはメンタル的に受け入れがたいという人もいるようです。
役職定年がない場合
役職定年制度がない会社では、退職その日まで課長だったり部長だったりして、明日からは自分の部下が自分の椅子に座ることになるでしょう。
これは実務スキル面で相当辛いだけではなく、かつての部下が自分の上司になる、自分より若い社員が自分の上司になる環境となります。このような環境に耐えられない人はこの先絶望的だとも言えます。
こういう場合は、55歳を超えたら指示命令を出すだけではなく、自分で少しずつ実務をこなしていきましょう。
その際、やり方がわからなくていちいち部下に教えを請うようでは部下に無駄な時間をとらせるだけではなく、反発すら招くでしょう。
出来ることから始める、やり方がわからなければ社内のイントラネットやマニュアルなどを見て自分で調べて覚える事が大切です。
とはいえ聞かないとわからないことはありますが、聞くにしてもやり方ではなく「何を見ればわかるんか、どこを調べればやり方がのっているか」を聞くのです。
昔の新人指導を思い出してください。手取り足取り教えなかったでしょう?
そういうことです。
55歳になったら、実務では貴方は新人かそれ以下なのです。
謙虚に実務を学びましょう。
基本的なPC利用スキルを身につける
実務を行うための最低限のベーシックスキルとしては、オフィス系業務であれば以下のことは自分でかっちりできるように覚えてください。
WordやPowerPoint、Excelは過去自分が部下に作成を命じたようなものを、今度は自分が命じられた立場でつくってみるとよろしい。
意外に手こずること請け合いです。
わからなければGoogle先生に頼るか市販の本でも買いましょう。
会社の文書や書類を持ち出すのはセキュリティ上問題がありますから、類似のものをネットとかでみつけてきて、自分で自宅のPCでチャレンジして密かに腕を磨きましょう。
逆の立場で考えてみると、こんなこともできない高齢者に近い年齢の人(再雇用や再就職した社員)に仕事を任せられません。
新人なら教えても自社の宝に育ってくれる可能性が高いですが、再雇用・再就職は即戦力以外は有りえません。
がんばってください!
次回
重い話は今回でしばらくお休みにしましょう。
次回からは話題をガラリとかえて50歳からのスマートフォンみたいなテーマで、スマートフォン活用の基本知識などについて書いていきましょう。